Vol.78 Streets of VASIC

「How's your summer?」8月も半ばを過ぎた今、会う人会う人が開口一番に発するのがこの質問。XXへ行ったとかバケーションの話を共有するのがお決まりですが、まあとにかく皆、よく休みを取って旅をしていますね。「ずっと仕事をしていたよ」という返答に暖かい眼差しを向けられつつ、「でも、秋にどこか行くのでしょう?」と尋ねられ、仕事に追われる自分の生活を見直さなくては、と思った次第です。今回は、そんな環境を少しでも変えようと、ニューヨークの郊外を訪ねたお話を紹介いたします。

Escape from City

もともとこの10年くらい、自然豊かなニューヨーク州の郊外ハドソンバレーやキャッツキルは、週末や休暇のデスティネーションとして人気を集め、センスのいいホテルやレストラン、ライフスタイルショップが増えていたエリア。さらに、コロナ禍を契機に緑豊かな郊外へと移住する人が増え、意識の高さを匂わせるブルックリンのような雰囲気が田舎町にも波及しています。

現代アート好きの人が美術館を目当てに訪れるビーコン、ハイセンスなホテルやショップが集結するハドソンなど、魅力的な町はいくつかありますが、今回ご紹介するキングストンは、アーティストや家具作家などクリエイティブな人々が多く住むエリア。マンハッタンから車で北へ90分、気負わないデイトリップにぴったりなのです。

What to do in Kingston

まず訪れたのは、キングストンのアップタウンにある「Hotel Kinsley」。4つの建物を擁して42部屋の客室を運営するブティックホテルで、メインビルディングは19世紀に銀行だった建物をリノベートしたそう。こちらでは、天井高のメインダイニングでランチを。サラダやバーガーなど、いかにもアメリカンな料理にもスパイスや調味料にひねりが効いていて、期待を上回るおいしさ。地元客がリモートで仕事をしてるような、リラックスしたムードも気に入りました。

そして、町歩きへ。17世紀から19世紀に建てられた建築が残る町並みは可愛らしく、旅情を誘います。電車が走っていないため、地元コミュニティが成熟しており、注目のエリアであっても商業的になり過ぎていないのも魅力。途中、カフェとギャラリー、ショップが融合した「Kingston Social」でコーヒーをテイクアウトしたら、アンティークショップやギフトショップを見ながらのそぞろ歩きが楽しい! 通りで写真を撮っていたら、キングストンの町を描いた絵葉書をもらって、ほっこり。他にも、カフェやベーカリーを併設した「Rosie General」、キッチングッズを扱うショップ「Bluecashew」、ニットウェアの「Eleven Six」など到達できなかったお店は、次回への持ち越しへ。

アウトドア派なら、キングストンからミネワスカ州立公園や、吊り橋のあるブラッククリーク保護区に足を延ばし、ハイキングやトレイルを楽しむのもおすすめ。あるいは1時間ほど南下して、巨大アウトレットモールの「Woodbury Commons」で物欲を解消させるのもよし。

ほんの数時間であろうとも、都会を離れる時間をもつことで心や体の緊張がほどけてリフレッシュできるもの。この秋も、セルフケアとしての脱都会を体験していこうと思います!