Hitomi Ishigaki & Ryotatsu Tanaka, Creative Directors

ニューヨークのクリエイティブスタジオ「STUDIO NEWWORK」を率いる田中了達さん、石垣日登美さん。Kanokoがパリに住んでいた時代からの付き合いだという彼らは、今も昔もKanokoが絶大な信頼を寄せる存在。彼らのディレクションによって、VASICはブランドのイメージを構築してきました。
  
ファッションブランドからコスメブランド、出版、ニュースメディアまで、幅広いクライアントをもつSTUDIO NEWWORK。巧みなタイポグラフィによるロゴデザインやエディトリアルデザイン、パッケージデザインなどを通じてブランドや企業の哲学をアイコニックに視覚化する彼らの卓越したセンスは、クリエイティブ業界で高い評価を得ています。また、アートマガジンのデザイン・出版も行っており、スタジオ創設の礎となった「NEWWORK MAGAZINE」のほか、昨年には二人の個人プロジェクトとして「TONE Magazine」もローンチ。キャリアの異なるアーティストを取り上げ、それぞれの未発表の作品をフィーチャーしています。

リノベートしたばかりだという彼らのスタジオは、清らかな白を背景に家具やオブジェクトが静かに、呼吸をするように佇む空間。“間”に豊かな情緒を見出すような演出が印象的で、ミリ単位で計算された文字と余白が生み出す彼らのデザインに通じる、静謐の美が凝縮されていました。

VASICとの仕事内容について教えてください。
 
アートディレクターとして、ブランディングをはじめ、「MAISON VASIC」のロゴ、ウェブサイト、ルックブック、ステーショナリー、ショッパーのデザインを手掛けています。
 
Kanokoが描くイメージとSTUDIO NEWWORKが提案するビジュアルは最初からマッチしていたのですか?
 
お互いに好きなものが似ていたので、ギャップはなかったですね。Kanokoさんは、タイムレスでクラシック、そしてシンプルなものが好き。こちらが奇をてらったデザインを提案すると、すぐに「それ、必要ですか?」って返してくるほど(笑)。シンプルがいい、という自身の哲学を貫いていますね。
 
Kanokoさんって、普段から服にしても、ブランド関係なく格好いいものを着ていて。「いいものはいい」と確かな審美眼があるんです。だからこそ、友人だけれどお仕事をしやすいのだと思います。
 
VASICのビジュアルに携わるにあたり(あるいはブランドについて)、大切にしているキーワード3つを挙げてください。
 
タイムレス
エレガント
やりすぎない(デザインを)

クライアントの期待を裏切るデザインを提案するケースもありますが、VASICの場合は日本のマーケット向けということもあり、ユーザー層を意識すべくKanokoさんの意見をなるべく聞くようにしています。

お二人から見て、VASICがこれほど長く続き、愛された理由は何だと思いますか?
 
Kanokoさんの細部まで手を抜かない姿勢が可能にしたのではないでしょうか。あとは、今っぽいものに影響されず、クラシックなブランドを意識しているところ、年齢層を限定しないところ、インターナショナルなセンスが評価されたのでは。
 
お二人はまさにブランドを一緒に育てきた立役者だと思うのですが、難しかったこと・やり甲斐を感じたエピソードはありますか?
 
MAISON VASICのロゴ制作ですね。キーワードやブランドの世界観をヒアリングし、アイデアを提案。その中から選ばれたものをさらにブラッシュアップして、完成させました。Serif(セリフ)体のロゴは、エレガント、ラグジュアリーを意識しながら、VASICにはないキーワードで差別化を図りました。
 
 
アニバーサリーについてのコメント
 
10周年、おめでとうございます。
タイムレスなデザインと確かなこだわりが、多くの人々に愛されてきた証ですね。これからの10年、20年も、その価値がさらに広がり、より多くの人々に届くことを願っています。